イヤホンの向こう

平日の朝の通勤列車の中で、イヤホンをしている人は少なくない。音楽やラジオを聴いたり、動画やゲームの音を聴く。

限られた時間・塞がれた空間で聴く理由は様々だ。

暇つぶしや学習、時たま聞こえる車内トラブルの声を遮断する為や、気持ちを奮い立たせたり、落ち着かせたり。

私は、気持ちを奮い立たせる為である。

決して明るい表情ではない人々が、同じ方向に進んでいく。それだけでも気が滅入るのに、働かなければならない。生きる為に。

イヤホンから音楽が流れているということは、他人には聴こえない(ようにしている)。

この曲は、今自分だけのものだと言い聞かせ、自分を前進させる為だと思い込む。

他人のイヤホンの中身が気になることがある。でも表情からわかることは決してない。

(端末の画面を見ることが出来れば話は別だが)わかるはずはないのに、読み取ることが出来ないかと思ってしまう。

自分と同じ悩み、葛藤、苦しみ、楽しみを持っているかもしれないと、少し素敵そうな奇跡がないかと探してみる。

SNSを頻繁に利用し、共有する癖(一種の依存症)だなと少し反省もする。

同じことをしている人は、きっとたくさんいる。イヤホンの向こうは音楽ではなくとも、到着地点は同じだろう。

少し頑張れる様になって胸を張って歩く。たくさんの人々と同じ方向に向かって。